2022年度FIP(太陽光発電)は採算がとれるのか?

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今回は2022年度以降のFIPの採算性についてお伝えした上で、FIPを活用すべきか解説します。

FIT制度/FIP制度入札対象のイメージ

調達価格等算定委員会の「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」によると、事業用太陽光発電についての、FIT制度/FIP制度入札対象は以下のようになっています。

【2022年度】
250kW未満   :FIT(入札なし)またはFIP(入札なし)
250kW~1,000kW:FIT(入札あり)またはFIP(入札なし)
1,000kW以上  :FIP(入札あり)

※250kW~1,000kWの容量帯について、既築建物への屋根設置型太陽光は入札を免除されます。

50kW以上入札対象外の買取価格は、10円です。
また、入札対象について、入札回数は4回で上限価格は、それぞれ10.00円、9.88円、9.75円、9.63円となっています。

【2023年度】
250kW未満   :FIT(入札なし)またはFIP(入札なし)
250kW~500kW:FIT(入札あり)またはFIP(入札なし)
500kW以上  :FIP(入札あり)

50kW以上入札対象外の買取価格は、9.5円です。

FIP活用シミュレーション

2022年度について、250kW~1,000kWの容量帯では、FITの場合入札対象となり、FIPの場合入札対象外となります。
そのため、入札第2回以降は、FITの買取価格(10円未満)より、FIPの基準価格(10円)の方が高くなります。

経産省は、20年間で見たとき、FITとFIPの収入を「同水準」になるように、
基準価格=市場価格+プレミアム
という計算式をつくっているので、
理論上、250kW以上においては、買取単価が高いFIPを選ぶ方がよいです。

では、実際にFIPを活用した場合のシミュレーションを計算します。

2022年6月現在の材工原価は、昨今の情勢を受け、これまでより高くなっています。

【出力250kWの場合の材工原価】
・モジュール 455W →37円/W
・PCS 三相 50kW →50万円/台
・アルミシステム架台 →1.3万円/kW
・キュービクルコスト →250万円/件

・工事・保安→4万円/kW
※工事とは組み立てか電気工事を指します。
※保安とは、外部委託する保安管理業務費用を指します。

以上より、kW当たりの材工の原価は11万円となります。

高圧の負担金や土地代については、

・負担金       →400万円
・土地取得と造成費用 →400万円

とします。

材工原価に、負担基・土地代を合わせて、総額約3500万円の原価となります。

次にFIPの収益性は…
【FIP収入額のシミュレーション】

経産省より公表されているFIP制度における卸電力取引市場の価格の参照方法等をふまえた簡易シミュレーションを用いて単年度のFIPの市場収入を計算します。

2019年度、九州エリアのデータを元に算出します。
・基準価格 →10円/kWh
・設備利用率→17.2%
・設備容量 →50%

※年間発電量は37.5万/kWh
※0.01コマ回数は39回
※非化石価値やバランシングコストを考慮しておらず、実際のプレミアムとは異なる簡易試算です。

2019年度
4月→市場収入5.0円/kWh+プレミアム4.3円/kWh
5月→市場収入4.8円/kWh+プレミアム5.9円/kWh
6月→市場収入6.6円/kWh+プレミアム3.5円/kWh
7月→市場収入6.7円/kWh+プレミアム7.3円/kWh
8月→市場収入8.3円/kWh+プレミアム5.7円/kWh
9月→市場収入8.0円/kWh+プレミアム2.5円/kWh
10月→市場収入6.1円/kWh+プレミアム3.1円/kWh
11月→市場収入3.6円/kWh+プレミアム8.4円/kWh
12月→市場収入5.6円/kWh+プレミアム4.4円/kWh
1月→市場収入4.7円/kWh+プレミアム5.7円/kWh
2月→市場収入3.5円/kWh+プレミアム6.8円/kWh
3月→市場収入2.2円/kWh+プレミアム5.3円/kWh

以上より、250kWの太陽光であれば、
市場収入は約205万円/年、プレミアムは約165万円/年 となり、
年間売電収入は約370万円、20年で約7,400万円 と計算されます。

つまり、自社物件として保有するのであれば、表面利回り10.5%程度となります。

FIPを活用すべきか

結論として、今年度の実施を検討しているEPC事業者については、FITがある容量帯においては、FITを活用するべきです。

「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」(執行団体:一般社団法人環境共創イニシアチブ)の結果によると、実証期間中は、FIT収入よりもFIP収入のほうが⾼い結果となっているため、(数 %〜数⼗ %の収入増)、FIPの方が収入が多くなる可能性もあります。

しかし、FITと比較してFIPでは、様々な電力市場と取引したり、需給調整業務を代行したりと追加的な業務が発生します。

これらの業務を規模の小さい発電事業者が行うことは難しく、アグリゲーター等に代行してもらうことが必要であり、その際には運用代行費用がかかります。

次に、上述のFIPシミュレーションは、発電量の全量すべてが市場で取引できた場合のものであり、インバランスを回避するには産業用蓄電池等のDERの導入が不可欠です。

運用代行費用やDERの導入費用を鑑みると、いまのところ、EPC事業者は「FIP」より「FIT」を選択する方がよいといえます。

また、野立て太陽光の活用は、「FIP」や「FIT」以外にも、「NON-FIT」という選択肢もあります。「NON-FIT」については、以下のセミナーで詳しく解説しているので、ぜひご参加ください。

 
FIT/FIPに頼らない!NONFIT土地付き太陽光販売戦略セミナー
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/086411

 
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