余剰売電、初期等支援スキーム、太陽光、自家消費太陽光
いつもメールマガジンをお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の土井新太です。
屋根上太陽光の新制度「初期投資支援スキーム」が実施される、2025年10月が近づいてきております。
本制度への対策は順調でしょうか。
船井総研の調査では、「法人向け屋根上太陽光の最短の受注事例は4か月」との結果が出ております。
お客様へのご提案からご契約・着工までに様々な検討や調整が必要となるため、
制度開始と同時に契約・着工を実現するためには、今月から提案を始める必要があります。
しかしながら、
【本制度を活用した提案方法がわからない】
【本制度を反映したシミュレーションの作成に悩んでいる】
【お客様にどのような訴求ポイントを伝えればいいのか迷っている】
などのお声を頂きます。
そこで本制度を活用した提案を検討されている方向けに、
概算シミュレーションの検証結果とともに本制度の経済メリットを解説いたします。
具体的には、
制度を活用することで従来よりどれだけ初期費用が抑えられるのか、投資回収期間がどの程度短縮されるのか、といった具体的な数値をご紹介いたします。
業活動を本格化される方にとってお役に立てる情報となっておりますので、是非最後までお読みください!
【制度のおさらい】初期投資支援スキームをわかりやすく解説!
はじめに、本制度の概要を簡潔に振り返らせて頂きます。
この初期投資支援スキームは、
屋根上等へ太陽光発電を設置する際に、「投資回収をなるべく早期にできるよう」設計されたスキームで、一定期間余剰売電価格が引き上げられます。
この余剰売電価格は
早期の投資回収を目的とした「初期支援機関」と、廃棄費用の適切な積み立てと事業長期化を目的とした「後期支援期間」によって段階的に設定されています。
それぞれの売電価格は以下の通りになります。
▷事業用
・初期支援期間(1年目~5年目)19円
・後期支援期間(6年目~20年目)8.3円 ※市場価格に連動
▷住宅用
・初期支援期間(1年目~4年目)24円
・後期支援期間(5年目~10年目)8.3円 ※市場価格に連動
売電価格が電気料金を上回ると、自家消費よりも売電を優先するインセンティブが生まれるため、価格設定時には2025年度の産業用電気料金(19.56円/kWh)や家庭用電気料金(27.31円/kWh)を上限とし、超えないよう調整されています。
※注意点
・補助金との併用に関して
自家消費太陽光の補助金と併用を検討する際には併用可否を要確認する必要があります。
自家消費率の要件やFIT・FIP認定の有無による制限がある補助金が多く存在します。
(参考)
地方自治体が交付している自家消費太陽光関連の補助金では、【自家消費率が50%】の要件を設定している事例が多くあります。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業では、【FIT・FIP認定を受けない】要件が設定されています。
補助金をご検討される際は各補助金情報をご確認ください。
制度を活用した概算シミュレーションを検証!!
本制度の経済メリットのシミュレーション結果をご紹介いたします。
今回は下記条件のもとシミュレーションを検証致しました。
【条件】
・容量:100kW
・初期費用:2,000万円
・自家消費率60%
・発電量:110,000kWh
・優遇税制による一括償却の節税メリット(580万円)を含む
・電気料金単価:24円/kWh
・現行の売電単価:11.5円/kWh
【検証結果】
現行の経済メリット
・年間電気代削減額
24円/kWh×110,000kWh×0.6倍=160万円
・余剰売電額
11.5円/kWh×110,000kWh×0.4倍=50万円
・投資回収年数
(2,000万円-580万円)÷(160万円+50万円)=6.8年
本制度の経済メリット
・年間電気代削減額
24円/kWh×110,000kWh×0.6倍=160万円
・余剰売電額
19円/kWh×110,000kWh×0.4倍=84万円(初期期間)
8.3円/kWh×110,000kWh×0.4倍=40万円(後期期間)
・投資回収年数
①初期支援期間
(2,000万円-580万円)-(160万円+84万円)×5年=200万円
⇒初期支援期間終了時点で投資回収まで残り200万円
②後期支援期間
200万円÷(160万円+40万円)=1年
⇒後期支援期間1年で投資回収
投資回収年数6年間:
上記の検証結果の通り
現行の投資回収年数6.8年を、本制度の活用により6年間へ短縮できることができることが明らかになりました。
【本制度を活用すべきか】
検証結果では、
6.8年⇒6年
へ回収年数が早期化されることがわかりました。
しかしながら、本制度には【補助金と併用して活用できない】デメリットも存在しています。
併用が難しい補助金には以下のようなものがあります。
※自家消費率などの要件によって併用可能な補助金も存在しますので、ご検討の際は各補助金情報をご確認ください。
・ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
補助率:4万円/kW
上限:3,000万円
・重点対策加速化事業
補助率:5万円/kW(地方自治体による)
上限:数百万円(地方自治体による)
ストレージパリティ補助金などの補助上限額が大きい補助金を活用できる場合は、初期投資支援スキームを活用するより経済メリットが大きい可能性があります。
本制度による投資回収の早期化は提案の追い風になりますが、提案の際には補助金活用をできない点も考慮する必要があります。
あくまでも提案材料の一つとしてお客様へお伝えすることが望ましいです。
今回もメールマガジンをお読みいただきありがとうございました。
今後も皆様にとって役に立つ情報を発信していきますので、是非お読みください。
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次回日程は6月3日(火)になります。
【開催情報】
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第1部 産業用太陽光&蓄電池事業 直近動向と成功事例解説
第2部 会社譲渡して、今思うこと
第3部 情報交換会
第4部 本日のまとめ
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