系統用蓄電池とはどのようなビジネスモデルですか?
系統用蓄電池は、電力系統(電線)に接続される蓄電池で、再エネ電源の普及や電力の需給バランスの調整に寄与する、新たなインフラ設備です。
電力の安定供給や脱炭素社会の実現に向け、国が導入を推進しています。主に「卸電力市場」「需給調整市場」「容量市場」の3つの市場での運用を組み合わせる収益モデルです。
1. 系統用蓄電池のビジネスモデル
系統用蓄電池は、電力系統(電線)に接続される蓄電池で、再エネ電源の普及や電力の需給バランスの調整に寄与する、新たなインフラ設備です。天候不順の増加や世界的な脱炭素の潮流(再エネ電源の推進)が進む中で、電力の安定供給やカーボンニュートラルの実現に向け、国が補助金や制度設計を整備し導入を推進しています。
電力は日ごろ、株・為替のように市場での取引が行われており、電力価格が高い時間と安い時間が存在しています。また、金融商品に様々な市場があるように電力も主に「卸電力市場」「需給調整市場」「容量市場」と呼ばれる3つの市場で取引がされています。これらを組み合わせ、系統用蓄電池のオーナーは収益を上げています。
① 卸電力市場(JEPX)
太陽光発電の出力が増え、市場価格が低下する日中の時間帯に蓄電池に充電し、電力需要が高まり価格が高騰する夕方や早朝の時間帯に放電することで、その差額から収益を得ます。出力制御が頻発する地域では、0.01円/kWhといった安価な電力を活用できるため、より大きな収益機会が生まれます。
② 需給調整市場
電力の需給バランスなどを維持するために必要な「調整力」を取引する市場です。系統用蓄電池は応答速度が非常に速いため、特に「一次調整力」や「二次調整力②」と呼ばれる高い技術要件が求められる枠で強みを発揮します。ここでは、実際に電気を流した際の対価(kWh)と、待機していること自体への対価(ΔkW)も得られるため、安定収益に寄与します。
③ 容量市場
将来の日本全体の供給力を確保するための市場です。蓄電池が一定の供給力(kW)を提供できると認められれば、落札から4年後に固定的な容量収入を得ることができます。これにより、変動の激しい市場取引を補完する長期安定的なキャッシュフローを確保することが可能になります。
2. 系統用蓄電池ビジネスへの参入ポジション
この系統用蓄電池ビジネスへの参入ポジションとしては大きく2パターンがあります。
① 蓄電池オーナー
オーナー自身が市場で取引を行うわけではなく、金融商品において証券会社やトレーダーがいるように、電力においては「アグリゲーター」と呼ばれる運用代行業者がいます。アグリゲーターの運用方針によって収益は大きく変わるため、アグリゲーターの選定が事業を成功させるための一つのポイントとなります。
オーナーは、市場の仕組みを理解したうえで、どの土地で、どのメーカーの蓄電池で、どのアグリゲーターに依頼をするのかを決定する必要があります。
② 販売工事会社(EPC)
土地・メーカー・アグリゲーターの選定が重要になります。土地については、系統用蓄電池の設置に適し且つ系統連系が早い土地を押さえることができるか、メーカー・アグリゲーターについては、性能面や実績面において信頼のおけるパートナーと組むことができるかが重要になります。
初期投資が大きいビジネスのため、目先の投資額の安さよりも、安全性や信頼性が必要になります。
3. まとめ
系統用蓄電池ビジネスは、オーナーとして参入するとしても、販売工事会社として参入するにしても、専門的な知見やノウハウが必要です。特に、早期の立地確保と検討開始が先行者利益を得るためのカギとなります。
船井総研の提言:市場変動を勝ち抜く事業構築
系統用蓄電池ビジネスの成功は、「どの土地で、どのパートナー(メーカー・アグリゲーター)と組むか」という初期の戦略設計で8割が決まります。
市場制度が複雑化する中、多角的な収益シミュレーションに基づいた投資判断を行うことが、長期的な収益確保の要です。











