FIT10円でも利回り10%は達成できる!コストダウンはまだまだ進む!

FIT10円でも利回り10%は達成できる!コストダウンはまだまだ進む!

 

_/_/_/_/_/_/目次_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

・パネル仕入れ価格は26円/W~30円/Wでほぼ安定

・小型・分散型キュービクルの活用で電材費までコストダウン

・FIT10円AC499kWの事業シミュレーション

 

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『脱FITはまだ早い!? 2021年&2022年のFIT太陽光事業の進め方』では、本年度のFIT制度の概要と実際の進行スケジュールを解説しました。その上で、数年後に、「あの時、もっとFIT入札にトライしておけばよかった・・・」という後悔をしないためにも、発電所用地の獲得に向けて行動を始めてください、とFIT入札案件へのチャレンジこそ、2021年度から2022年度の重要課題なるとお話をしていました。
 
今回は、現在の部材原価の動向からFIT10円/kWhでの落札を前提にその事業性を判断します。また、法制化が済んだ「廃棄費用積立」の源泉徴収も踏まえて収益性をシミュレートします。
 

パネル仕入れ価格は27円/W~30円/Wでほぼ安定

本メールマガジンでは定期的に販売店さまでの各部材の仕入れ価格の相場を紹介しています。
2020年8月と2021年2月を比べてみましょう。
 

<2020年8月のモジュール仕入れ相場>

※価格はすべて通関費・送料込み
※仕入れロットは、100kW相当~1コンテナ分(660枚~800枚程度)が混在

<多結晶モジュール>
275W~285W→23円/W~27円/W
<単結晶モジュール>
60セルサイズ
310W~320W 22円/W~28円/W
330W~370W 24/W~30円/W
72セルサイズ
380W~405W 23円/W~26円/W
420W~440W 26円/W~35円/W

 

<2021年2月のモジュール仕入れ相場>

※価格はすべて通関費・送料込み
※仕入れロットは、100kW相当~1コンテナ分(660枚~800枚程度)が混在

<多結晶モジュール>
275W~285W→ほぼ廃盤
<単結晶モジュール>
60セルサイズ
310W~320W ほぼ廃盤
330W~375W 26/W~30円/W
72セルサイズ
380W~405W ほぼ廃盤
420W~440W 27円/W~30円/W
440W~510W 28円/W~31円/W

 

新型コロナウィルスなどの影響により、日本向けのモジュール価格が非常に安かった昨年8月と比較すると、現在のモジュールのW単価は10%ほど値上がりをしています。

しかしその一方で、多結晶275W~285Wや単結晶310Wなどのこれまで大量に販売されてきたラインナップの生産終了・廃盤が進んでいます。

今後は、従来よりも一回り大きい167.5mm角や182mm角のセルを採用し、モジュール寸法で約1700×1040mm×35mmのような、従来品より少し大きなモジュールが主流になる見込みです。出力も従来品の340W程度から10%程向上し、380W前後がこのサイズでは主流になる見込みです。さらに大型のモジュールでは、210mmセルを使用した長辺が2300mmを超え出力も600Wを超えるものも順次登場しています。

 

価格感としては、現在の26円~30円/Wの価格帯がモジュール仕入れ価格としての相場で、今後発注のタイミングや時期などによって、ここから+2円程度上がる可能性があります。

 
しかし、本年度に手続きを行うFIT案件の実際の着工時期は、認定から起算して3年ルールのギリギリで行う可能性が高く、その時期には更に大型・大出力で安価なモジュールが一般的になっていることが見込まれます。

それらを見越して、接続検討の時点で可能な限り大出力のパネルで申請をし、DC側の出力を最大化することが重要となります。一方でただ大きいモジュールであれば良いわけではなく、メーカーさまから提供されるデータシートのうち『梱包構成』を必ずご確認ください。

大きすぎるモジュールはその大きさ故、40ftコンテナへの梱包量が減ってしまう場合があります。現状では、182mmセルを使用した約2,200mm×約1,100mm×35mm 出力で最大550W~560W程のものが40ftコンテナで約330kW分相当の約620枚の梱包が可能で、これが1コンテナで輸送できる最大級のモジュール出力・枚数の組み合わせです。モジュール選定時には、現在のモジュールの価格感のみならず、40ftコンテナで輸送した際の枚数・コスト、設置の際の工数まで含めて検討が必要となります。

 

小型キュービクルの活用で電材費までコストダウン

また交流側についてもコストダウンが進んでいます。PCSについては、HUAWEIやSMAなどの海外メーカーから100kW~125kWの出力で、8,000円/kW以下で購入できるなど、従来よりも大きくコストが下がっています。PCS台数が減ることで故障時の発電量低下などのリスクはありますが、設置時の工数削減、電材費の削減なども期待できます。

またキュービクルについてはWaveEnergyや関西電機工業などからはモジュールアレイの下部に設置ができる小型のキュービクルがリリースされています。キュービクルをPCSから可能な限り近い距離に置くことで、低圧側の太く高価なケーブルを短くし、長距離の配線はすべて細く安価な高圧母線に行うことでさらなるコストダウンが可能です。

また、従来、キュービクルの設置のために取っていたスペースにもパネルを敷設できるため、1案件辺りのパネル出力の最大化にもこのような小型キュービクルはコミットできます。
 

FIT10円AC499kWの事業シミュレーション

下記に、AC499kW 過積載率180%でFIT10円/kWh(税別)での事業シミュレーションの例を提示します。結論から言うと、現在の単価から想定可能な範囲のコスト感で原価のシミュレーションを行っても自社保有であれば十分に表面利回り12%程で運用が可能です。あくまで下記は上限の予算で示していますが、実際に着工する3年後には更に低い原価で実行できる見込みです。

FIT10円AC499kWの事業シミュレーション

また、廃棄費用積立の源泉徴収についても、2021年度認定案件であれば、運転開始後11年目からFIT終了のまでの10年間、0.66円/kWhが売電単価から引かれます。

AC499.9kWDC900kWの案件であれば、年間の源泉徴収による廃棄費用の積立は6万円ほど、10年で60万円ほどですので、20年間の収益性が崩壊するほどの影響はありません。一方で、発電側基本料金については、未だ正確な決定がなされていません。最新の検討会である2020年12月には、『発電所の出力(kW)と実際の発電量(kWh)それぞれに課金する』という方式が検討されており、出力に対して決定する基本料金+発電量に応じた従量課金の形態で費用負担を求められる可能性があります。こちらについても、FITの収益性が根本から覆る程ではない見込みですが、引き続き議論の動向への注視が必要です。

 

このように廃棄費用の積立や発電側基本料金に代表されるようにFIT案件への締め付けは強化されています。しかし、電力の市場価格や需給状況などの外部環境に一切左右されずに、固定価格で20年間の売電契約という形態の魅力はさらに高まっており、それを後押しするように部材の原価も低下し続けています。

経済産業省が公表しているデータによると、2025年に日本国内で運転開始をする太陽光の発電コストは8.4円/kWhとされており(※2019年実績は13.1円/kWh)FIT10円で権利が取得できれば十分に採算の合う事業となる見込みです。

『あの時、もっと土地を仕込んでおけば・・・』と数年後に後悔しないように、FIT制度が存続する限りは引き続き土地の仕込みを実施していただければと思います。
 
本日もお読み頂きありがとうございます。

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