【電力系統空き容量不足問題】再生可能エネルギー大量導入に向けた「ノンファーム型接続」や「ローカルフレキシビリティ市場」とは何か?

【電力系統空き容量不足問題】再生可能エネルギー大量導入に向けた「ノンファーム型接続」や「ローカルフレキシビリティ市場」とは何か?

太陽光発電のEPC事業者・販売店の皆様は、太陽光発電を設置したいが、送電線に空きがなく、系統接続ができないという事態を経験されたことがあるのではないでしょうか?

本日は、現在議論されている系統混雑を解消する方法についてご紹介します。

 
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「空き容量ゼロ」問題とは?

そもそも系統とは、電力の系統(送電網・配電網)のことで、生産された電気を消費者の元へ送る「流通」の役割を担っていますが、電気を流すことのできる「容量」が決まっています。

このため、太陽光発電所を建設しても、「空き容量」がなく、系統接続ができないという事態が発生します。「空き容量ゼロ」問題は、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを大量導入し「2050年カーボンニュートラル」を達成しようとしている日本において、重大な問題として、その対応が求められています。

「空き容量ゼロ」問題への対策①系統の増強

まず1つ目の対策は、基幹系統の増強をすることです。
広域連系系統のマスタープラン及び系統利用のルールの在り方に関する検討委員会では、具体的なエリア別の増強案を検討しています。

例えば、九州から中国ルートの増強(278万kWから556万kW)の場合、約3,600億円の投資が必要である、と試算されています。
2021年5月には「発電側基本料金の見直し(発電側課金)」がされ、系統増強費用は、接続しているエリア全体で負担する仕組みとなり、系統増強にかかるコストは、発電事業者にも課されることになりました。
空き容量不足問題には、コストがかかる系統増強という手段だけに頼るのでなく、既存の系統の運用の見直しなどが求められています。
既存の系統を効率的に運用するための、ノンファーム型接続やローカルフレキシビリティ市場の開設について解説します。

「空き容量ゼロ」問題への対策②ノンファーム型接続

そもそも系統に接続している電源は、需要や気象状況に合わせて稼働するため、常に系統の容量を使い切っているわけではありません。

ノンファーム型接続は、系統の空いている容量を活用し、新しい電源をつなぐ方法であり、系統混雑時には後着者であるノンファーム電源が一律で抑制される制度という制度です。
※適用は基幹系統のみノンファームには多くの再エネが含まれるため、再エネが優先的に抑制され、電源価値を活用できないという課題があります。

この課題に対応しようとしたのが、「再給電方式」です。
再給電方式では、火力発電から非化石電源の順番で、出力制御がかかります。
※適用は基幹系統のみでローカル系統については未定再給電方式は2022年度から開始されますがまず2022年度から「調整電源」のみ系統混雑時の出力制御対象となり、2023年中に「全電源」へと拡大としていく予定となっています。

「空き容量ゼロ」問題への対策③ローカルフレキシビリティ市場

日本では蓄電池などのDER(distributed energy resources,分散型エネルギー源)が普及し、DERがもつフレキシビリティ(≒調整力)の活用方法が多様化しています。
DERのもつフレキシビリティは主には、調整力公募・需給調整市場など電力系統全体での周波数調整・需給バランスの調整で活用されますが、潮流コントロール・管理による系統混雑解消にも貢献します。

系統が混雑した場合というのは、配電網すべてに常にストレスがかかるのではなく、特定の時間帯のみ特定の場所で過度に拡張されている状況のため、混雑処理をフレキシビリティをもって対処すれば、系統全体の増強の必要はありません。
混雑処理のための配電混雑地域内のフレキシビリティ(ΔkW+kWh)を調達できるようにするのが、ローカルフレキシビリティ市場です。
既に欧州ではフレキシビリティ取引のプロジェクトが進められていて、イギリスでは「Piclo Flex」が実運用を開始しています。
Piclo Flexのフレキシビリティのリソースは家庭用蓄電池や発電機があります。
日本では2020年度にフィージビリティスタディを実施し、2021年度にNEDOが実証を行っています。

今回は、ノンファーム接続やローカルフレキシビリティ市場についてお伝えいたしました。
2022年からは配電事業者がライセンス化され、2022年中には「再給電方式の導入」、DERフレキシビリティの活用に向けた詳細検討・課題整理が行われるなど、日本の系統の在り方が議論される年となるでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。

 
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