【経産省】令和5年度需要家主導による太陽光発電導入促進補助金を徹底解説
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【経産省】令和5年度需要家主導による太陽光発電導入促進補助金を徹底解説
平素より大変お世話になっております。
今回は業界注目の需要家主導による太陽光発電導入促進補助金について解説します。
令和4年度需要家主導による太陽光発電導入促進補助金を徹底解説
◆<予算額>
第一次公募予算額:130億円程度
第一次公募は、4月22日(金)17時までで、第一次公募で予算額に達した場合、二次以降の公募は実施しない場合がございます。
◆<補助率>
自治体連携型は2/3以内、自治体連携型以外は1/2以内となります。
自治体連携型とは、
①自治体の所有地を活用する場合と、
②資本金の過半数を出資する補助対象事業者又は自治体が、当該地方公共団体内に需要地を有する者を需要家として補助事業を実施する場合
の2パターンあります。
◆<補助対象事業の要件>
①新設される2MW(AC)以上の設備
複数地点の設備の合計値が上記を満たしている場合でも申請が可能ですが、
その場合、1地点当たりの設備容量が 30kW (AC) 以上である必要があります。
また、リース・レンタル・中古の設備は補助対象外です。
②令和5年2月28日までに系統への電力供給を開始している
③補助対象経費の単価が25万円/kW (AC)
④低圧は「系統連系申込」、高圧は「接続検討申込」を完了する
本事業は、非FIT・非FIPが対象となります。
FIT・FIP制度の入札参加中の案件及び申請中の案件については、応募することは可能ですが、採択後速やかに申請の取り下げ等を行う必要があります。
◆<オフサイトPPA等による電力供給の要件>
①需要家が「8年以上」電気を利用する契約が締結されること
②需要家が発電量(計画値ベース)の「7割以上」の電気を利用する
※発電事業者、小売電気事業者は「1社」のみ
※需要家は複数社、複数施設でも可
※自己託送は不可
◆<補助対象経費一覧>
設備導入費だけでなく、土地造成費や工事費、接続費も対象となっています。
補助対象経費一覧は以下となります。
①設計費
設備導入に必要な設備等の設計に要する経費
②設備購入費
パネル、PCS、モニター、架台、接続箱、受配電設備、遠隔監視、制御装置、その他の付属機器
③土地造成費
設備設置に必要な土地造成費※土地取得費用は対象外
④工事費
基礎、設備の据付、電気配管及び柵塀(柵塀購入費含む)に係る工事費
⑤接続費
送配電事業者の有する系統への電源線、遮断機、計量器、系統設備に対する工事費負担金
令和4年度版需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の加点基準
本事業は、JPEAが申請内容について、審査、総合的な評価を行い、採択事業者を決定します。
以下6つのポイントが高ければ高いほど、加点され、採択される可能性が高くなります。
①補助対象設備による発電量に対する需要家の買取率の高さ
②需要家による買取期間の長さ
③kW当たりの単価の低廉さ
④一カ所当たりの平均出力の大きさ
⑤一需要地当たりの平均需要の大きさ
⑥脱炭素先行地域に選定された地域内に太陽光発電設備を設置し、当該地域内の需要家に電気を供給するものであって、
当該脱炭素先行地域の選定に当たって自治体が提案した計画に位置づけられているもの
例えば、経費を25万円/kWで申請した場合より、20万円/kWで申請した場合の方が、採択される可能性が高くなります。
EPC事業者が応募申請までに行うこと
実際に需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の応募申請を進めるためには大きく分けて、3つを行う必要があります。
①設置場所の確保
地上設置の場合は、土地全筆の地番リスト、土地と境界を接する土地全筆の地番リストが必要です。
また、設備構造図や整備計画も全て必要となります。
※本事業では、営農型や水上設置、カーポート等の太陽光発電など、補助対象となる太陽光発電設備の種類は制限されていませんが、
土地の取得費については補助対象外となりますので、注意が必要です。
②電力申請
低圧については、「系統連系申込」を完了している必要があります。
系統連系申込の回答が得られていない場合であっても申請が可能です。
高圧・特別高圧については、「接続検討申込」を完了している必要があります。
接続検討結果の回答が得られていない場合であっても申請が可能ですが、
その場合は、工事負担金見込み額1.35万円/kW上限で申請が可能です。
見込額で申請した場合は、工事費負担金の額が確定した後、確定した額と申請時の見込額のいずれか低い額が補助対象額となります。
③発電事業者・小売電気事業者・需要家の3社間の契約の締結
EPC事業者はまず、大規模需要家を見つける必要があります。
カーボンニュートラル達成に向けて、大手需要家も再エネを導入することが求められています。
大手需要家には本補助事業を交えたオフサイトPPAの提案をしていきましょう。
そして、オフサイトPPAでは、需給調整業務を行いや需給バランシング責務を負う小売り電気事業者を仲介させる必要があります。
最後に発電事業者ですが、発電事業者は「1社」のみとなりますので、
多くの場合は、発電事業者が需要家と同一となる、
もしくはEPC事業者が発電事業者となり、申請を行っています。
表面利回りはいくらになるか
上記の通り、本事業では、複数地点の設備の合計が2MWを超える必要があります。
そのため、低圧49.5kW(パネル95.5kW※193%過積載)を41件(2MW)開発するとします。
また、土地原価を30万円/基とし、土地以外の原価を932万円/基とすると、
補助金(1/2)控除後原価は466万円/基となります。
年間発電量(2MW)を、4,202,000kWhとすると、
年間売電収入は35,717,000円となります。(売電単価8.5円の場合)
この場合、単純表面利回りは19.1%、投資回収年数は5.2年となります。
令和5年度の補助金を活用するためにEPCができること
令和5年度は「165億円」の概算要求を発表しています。
今後、予算額の変更や補助事業の条件を決めていく段階に入りますが、今年の公募スケジュールを鑑みると、「3月~8月」というスケジュールが妥当です。
これらを踏まえ、今後EPC側ができることを3点ご紹介します。
①Non-FIT用地の確保補助金採択結果でもあるように、自社が補助事業者となって案件を組成するには、資金力や管理面での限界もあり、大手企業等との連携を図りつつ、補助事業に参入する方が現実的です。
したがって、EPCでは「土地募集・発電所開発」が求められますので、早い段階から土地募集の動きを進めていきましょう。
本メルマガでもよくお話ししている様に、販促には新聞折込チラシなども有効であり、3月の発表までの間に、1件でも多くの物件を提供できるように準備をすすめていくべきです。
②需要家との接点を持っておくEPCのポジションとしては、大手発電事業者・小売電気事業者から「〇万円で物件を買う」という打診をされていることが多いのですが、このケースでは価格交渉力が弱く、利益率が悪くなる事業となってしまいます。
最終的に電気を調達する需要家側の現在の電力状況や、要望内容が分かっていると、その内容に合わせた発電所を選定でき、かつ収支計算を組みやすくなります。
「脱炭素系の展示会」などでも多くの需要家が来場されるため、このようなイベントにも積極的に参加していくことで、需要家との接点を持つことが重要になります。
③開発コストを徹底的に見直しするEPC側では、コストの見直しを定期的に実施すると思いますが、Non-FIT関連の事業においては、FITと比べ収益性が悪くなる傾向があります。
したがって開発コストを下げていく必要があり、情報収集力がカギになります。
参考として、低圧過積載(DC100kW)の場合、直近でのシステム価格は「11万円/kW」が平均です。
※土地・負担金等除く
モジュール・PCS・架台を中心に、工事や電材類までも改めて見直しをかけましょう。
ただし、品質を落とすと販売不可となることが予想されますので、社内体制も見直しておくことも必要でしょう。
本日もお読みいただきまして、ありがとうございました
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