令和7年度の系統用蓄電池補助金情報と過去の採択傾向を解説!

 
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船井総合研究所の宮平です。

近年、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力系統の安定化に不可欠な「系統用蓄電池」への注目が急速に高まっています。

系統用蓄電池の導入を検討されている事業者の皆様にとって、補助金を活用し、事業を組成していきたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

今回は「補助金の概要はどのようなものか?」「どのような会社が補助金に採択されるのか?」といった内容について、「系統用蓄電池の補助金概要と採択傾向」をご紹介しますので、今後の皆様のお役に立てれば幸いです。

令和7年度系統用蓄電池補助金(経産省)の概要

 
ここでは、令和7年度再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金(以下、系統用蓄電池補助金)の概要をご紹介します。

  1. 補助金の目的
    2050年のカーボンニュートラル、2040年のエネルギーミックス達成に向け、再生可能エネルギーの最大限の導入・活用による非化石化を推進するために実施されます。
  2. 予算額と公募期間
    予算額:約400億円の内数であり、初年度の事業規模は約50億円とされています。
    公募期間:2025年8月29日(金)から2025年10月24日(金)までです。
    交付決定予定日: 2025年12月下旬の予定です。
  3. 補助金対象事業
    補助対象となるのは、日本国内において、各種電力市場等を通じて調整力等を供出する「蓄電システム」あるいは「水電解装置」を新規で導入する事業です。
  4. 補助率及び補助金限度額
    補助率と補助上限額は、導入する設備の種類と規模によって異なります。
    最も一般的な2MW/8MWhの蓄電所だと、補助率1/3以内、補助上限額10億円となっています。
  5. 補助対象設備要件
    補助対象設備要件は蓄電システムと水電解装置によって異なります。
    蓄電システム
    ① 新規導入:本事業の実施のために新規に導入される蓄電システムであること。
    ② 最大受電電力:最大受電電力が1,000kW以上の設備であること。
    ③ 安全性・認証(電池種別ごと):システムに合わせた火災検知システム、火災警報器、消火設備の計画・設置、および消防法等の要求事項への準拠が必要。
    ④BMSメーカーの実績:選定した蓄電システムのBMS(Battery Management System)のメーカー等について、過去5年間の実績を含め、国際的に受け入れられた実績を有していること。
    ⑤法令遵守・事故対策:消防法等の各種法令等に準拠した設備であること。

水電解装置
① 新規導入:本事業の実施のために新規に導入される水電解装置であること。
② 装置の機能:水を電気で分解して水素を製造する装置であること。
③ 系統連系:原則、電力系統に直接接続する水電解装置であること。需要家側への設置や特定の発電設備に付随する場合も、電力系統に接続したうえで、各種電力市場等を通じた調整力等の供出や余剰電力吸収(上げDR)に寄与する装置である必要がある。
④ 定格消費電力:定格消費電力が250kW以上の設備であること。
⑤ 事故事例:過去、C級事故相当以上の水電解装置に係る事故事例の無い企業が製造する装置であること。

令和6年度の補助金と令和7年度の補助金の違い

 
ここでは、令和6年度の系統用蓄電池補助金と令和7年度の系統用蓄電池補助金の概要と採択要件の違いをご紹介します。

  1. 予算
      ・令和6年度: 総予算額約390億円の内数で、初年度の事業規模は約80億円。
      ・令和7年度: 総予算額約400億円の内数で、初年度の事業規模は約50億円。
  2. 昨年と比較し、10億円多く総予算額が組まれています。

  3. 採択要件
    令和7年度から債務超過である事業者の申請を原則不採択にする、というより厳格な財務要件が追加されました。
  4. CO2排出量20万t以上の民間企業のCO2排出削減に関する取り組み
    新たに、2025年度以前の排出実績に関して「第三者検証の実施」(GXリーグ第三者検証ガイドラインに準拠)が義務付けられました。
  5. 申請時の価格競争が厳格化
    令和6年度は、3者見積・競争入札を行い、メーカー・型番を決めた上で申請することが求められた。令和7年度はそれに加え、「導入設備は、特定メーカー又は機種を指定しての見積依頼・競争入札等を行わないこと」と明記されました。

令和6年度の補助金採択傾向

 
ここまで補助金の内容についてご説明させていただきましたが、最後に令和6年度の補助金の採択傾向を採択エリア、事業規模に分けて解説します。

1つ目は、採択エリアについてです。

採択された27社のうち、北海道電力エリアが9社、九州電力エリア6社、東京電力エリアが4社、中部電力エリアがそれぞれ3社、関西電力エリア、中国電力エリアがそれぞれ2社、東北電力エリアが1社という結果になりました。

上記のように、北海道電力エリア、九州電力エリアが採択の大半を占める形となりました。

2つ目は、採択された事業規模についてです。

組成規模は、27社のうち高圧案件が9社、特別高圧案件が18社という結果となりました。(補助金額から弊社が事業規模を推定したもの)

採択規模の傾向は1:2で特別高圧有利の結果となりました。

上記の内容を取りまとめると、

    ・北海道/九州エリア
    ・特別高圧規模の蓄電池

が採択されやすい傾向にありますので、補助金の活用をご検討の方は是非今回の内容をご参考くださいませ。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 
 
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◆時間
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※会場に限りがありますため、定員上限に達した場合はご参加受付を終了させていただきます。

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